わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

実録!it's a rainy day.はこう作られた

こんにちは。
先日、新曲「it's a rainy day.」を投稿しました。naka3 virtual girls bandプロジェクトから生まれた「le mirage*」による総打ち込みJ-Rockです。

まずは、聞いていただければと思います。

今まで2年間ほどちまちまと続けてきた音楽制作の集大成として作ったつもりの作品ですので、この記事では少し解説などしたいなと思った次第です。まぁ、自分の備忘録も兼ねて……ということで。
「音楽について」「歌詞について」「ジャケについて」の3つの柱でお話していこうと思いますので、興味のあるトピックだけ読んでいただければと思います。


音楽について

まず第一に、この曲の調性は「Cメジャー/Aマイナー」になります。つまりCメジャースケール/Aナチュラルマイナースケールからなり、簡単に言えば黒鍵を除く「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7音から大半の部分が出来ています。
日本語ではハ長調イ短調と呼ばれるこの調は最もベーシックで素朴な調ですので、安心感がある反面ありきたりであるとも言われており、この調の曲はle mirage*では初めてとなります。今回は「王道」感を出すために敢えてこの調での作曲に挑戦しました。

それでは、各セクション毎に曲の展開など見ていこうと思います。

1番イントロ→A

イントロはいきなり、ギターのクリーンサウンドから始まります。これは曲を作る前からやりたいなと思っていたことです。
しかし、打ち込みでギターのクリーンサウンドを鳴らすのは難しく、安っぽさや打ち込みっぽさが出やすいです。
そのため、細かく奏法を切り替えたり、ギターの音作りを完全なクリーンではなく気持ち少し歪ませるなどの工夫をしています。また、ギターの音だけでは細いなと感じ、エレピの音を加工したものをレイヤーしています。

コード進行自体は「Am7→G→Em7→FΔ7」とそれほど難しいものではありませんが、この進行はイントロからAメロにかけて変わりません。これはイントロのギターリフをそのままAメロでも使用したかったためで、「イントロのリフがAメロまで続く」「サビのリフが間奏/アウトロまで続く」といったようなリフの使い回しは定番のパターンです。
この影響もあり、私は普段メロディー先行(メロディー→コード進行の順)で曲を作りますが、Aメロはコード進行先行(正確にはイントロ先行ですが……)で作っています。まぁ実のところこの曲に限らず、私はAメロをコード進行から、Bメロとサビはメロディーから作るというパターンが割と多いです。

1番B

J-POPにおけるBメロは、クラブミュージックにおけるビルドアップのように、サビ(ドロップ)への盛り上がりを演出する箇所です。
サビでドカンと盛り上げたかったので、この曲ではBメロでの盛り上がりを最小限に止めようと思いこのような形になりました。
サビの盛り上がりと対比させるために落ち着かせたいが、サビへの繋ぎとしてある程度は盛り上げたい……そのバランスが結構難しくてですね、まぁ結局はサビ前に一度音が止むという強硬手段に出てしまった訳です。音を止めるのは緩急を演出する手段として最強であるとともに、ありきたりでもあります。1曲の中で何回も使うのは避けたいですね。

1番サビ

サビはドカンと盛り上げたい訳ですから、どこまでもストレートなサビを目指して作りました。
ドラムもベーシックなビートで、ベースもコードのルートをひたすら弾いてるだけ、2本のギターもコードを掻き鳴らし続けるという、極めてシンプルなオケですが、これが愚直さ、真っ直ぐさを演出してくれます。また、ギター・ベース・ドラムという楽器編成こそが最もストレートなロックであると踏んだため、このセクションは敢えてキーボードパートを入れていません。(Key.の子、ごめん……)

コードですが、やはりサビは曲の顔ですから、僕の好きなコードをたくさん使いました。EとかFmとかBm7(♭5)とかそういうやつです。どれもエモくてそれなりに使いやすいコードなので是非使ってみてくださいね。
サビの終わりの部分のコード進行は、実は私が大好きなとある曲のサビの終わりと全く同じです。勘の良い方は分かるかもしれませんね。

そしてメロディです。サビのメロディは歌モノの顔であり、最も気を使わなければいけないところです。
特にポピュラーミュージックの場合「覚えてもらえる」「口ずさんでもらえる」メロディ作りはメチャクチャ大事です。(歌うのが難しいメロディの曲は、アーティストの個性とブランド力があってこそだな……と個人的には思います)
とは言っても、キャッチーなメロディ作りなんてセンス次第、というところがあります。そこで、私はいつも「反復」で、「覚えてもらえる」というより「強制的に覚えてもらう」というスタンスでメロディを作っている節があります。
反復というのは、具体的には、同じようなモチーフを何度も何度も繰り返します。it's a rainy day.のサビでは「ド→シ→ラ→ソ」と順次下降していくメロディから始まる4小節の塊が何度も使われています。しかもサビ全体は、4小節の塊(4小節目で変化する)を4回しする塊を2回しする構成で、しつこい程同じようなモチーフを聞かせています。
こうすることで聞き手の耳に残る、というより、残すことが出来ますね。(実際にそうなってるのかは知らんが)(作り手なので)

間奏→2番AB

1番サビが終わると、再びイントロと同じリフに戻り、2番Bまで殆ど同じ展開となります。
1番との差別化を図るため色々と試みたのですが、どれも蛇足だな……となり、最終的にはドラムパターンを変化させるにとどまりました。

ソロ

実は私は「王道ロックといえばA→B→サビ→A→B→サビ→ソロ→C→大サビ」派閥なのですが、敢えて、今流行りの(本当か?)2番Bメロからサビに行かずにソロに行く展開を使ってみました。
いざ作ってみると、冗長な展開から抜け出すような感じで良いですよね。展開におけるサビは「解決」みたいなものなので、Bからサビに行かずにソロ→Cと展開していくと、聞き手は焦らされてるような感じになって、最後の大サビでの解決がより心地よいものになる感じがします。

ソロのメロディも曲の顔の一つです。楽器隊の見せ場ですからね。
今回はただただクサ格好良いソロを作らずに、浮遊感のある哀愁漂う感じにしたかったので、Amのコードの上で「ラ→ド→ミ→ファ→ミ」と、Am6のアルペジオを奏でるような形にしました。結構お気に入りです。

Cメロ

Cメロは本当に流れというかノリで完成しちゃったので、特に言うこともないのですが。
途中でBメロと同じメロディに合流するのは、le mirage*のデビュー曲でもある「スターマインテイルズ」でも使った展開です。Cメロの後はサビに合流していく訳ですが、一旦Bメロに合流させてからサビに繋ぐことで、サビへの接続が簡単になります。(Bメロは元々サビと接続できるので)

ラスサビ

ラスサビの「ラスサビ感」はとても重要で、もしラスサビが普通のサビと全く同じならば、「あ、ここで終わっちゃうんだ」という感が出てしまうこともあります。ですから、ラスサビではそれまでのサビに何か一工夫加えなければいけません。
ラスサビ感を出す最も簡単で最も効果的な手法はやはり転調な訳です。そこで、曲を作る過程で一度上に転調する事も試してみたのですが、曲全体で聞いた時に、いや、これは違うな……となった訳です。
転調以外でラスサビ感を出す方法として、コード進行を変えずにメロディを変える(「さよなら魔法区51番街」で使った手法です)方法や、展開を加える・変える方法がある訳ですが、今回は後者を選びました。
と言っても、サビに入る前のドラムソロを一小節増やしたり、サビ終わりの三連符のメロディを伸ばしてみた、という程度ですが。それでも結構効果的ですよね。

アウトロ

1サビ終わりのインターリュードではイントロと同じリフに戻り落ち着きますが、アウトロでは「it's a rainy day.」の畳み掛けるような絶唱とともに、更なる盛り上がりを演出しています。
また、ここまでAm(VIm)主軸の暗い印象だったコード進行も、C(I)主軸の明るい印象のコード進行……というか、俗に言うカノン進行にシフトし、曲の雰囲気も大きく変わります。
カノン進行とは、パッヘルベルのカノンという曲で使われている「C→G→Am→Em→F→C→F→G」という黄金進行で、聴き心地が非常に良いためJ-POPで乱用されています。しかし、これまで乱用されていたせいで、今では最早ありきたり過ぎるコード進行として有名です。
今回このコード進行を敢えて使ったのは単に僕が使いたかったからなのですが、サビに使ったらそれはもう負けな気がしたので、アウトロにぶち込みました。それまで影も形も見せてこなかったカノン進行がアウトロで突然ドカンと来るインパクトを狙ったものになります。

カノン進行の上での「it's a rainy day.」の絶唱が終わると、僕の大好きなEのコードを挟み……畳み掛けるような細かいフレーズの新しいメロディに突入します。
ここは、曲全体の中で最も盛り上がるポイントとして設定した部分です。メロディも8分刻みの細かいフレーズで、コード進行も|F |G G#dim |Am |G D/F# |と、ここまであまり顔を出さなかったタイプの進行になっています。

その後、再びイントロと同じリフに戻り、急激な落ち着きとともにフィナーレへと向かいます。
この曲は「元気いっぱい!」という曲ではありませんので、終わり方はやはり落ち着かせるべきだろうと思いこのような形になっています。イントロと同じリフに戻るのも、曲全体の帰結感が出て良いかなと思ったり、思わなかったり。


歌詞について

歌詞について多くを語るのは野暮かなという気もしますし、何より恥ずかしいので手短に済ませます。この項にはオタクの自分語りや痛い一人遊びが含まれているので、覚悟の準備をした人だけ読んで下さい。

この歌詞を書いたのは、ちょうど新曲が思うように伸びなかったり、某コンテストの一次審査で落ちたりしてバカほど落ち込んでた時なので、なんだか暗い歌詞になりました。皆さん、負の感情が爆発しそうな時はその負のエネルギーをポエムにぶつけましょう。
「さよなら魔法区51番街」以来の、自分を投影した歌詞です。周りの人は自分の作品が色んな人に評価されているのに、僕の曲はそもそも誰にも聞いてもらえない、みたいな悲しみや苦しみ、嫉妬みたいな感情と、そんな感情を持ってしまう自分が大嫌いだ、みたいな感情が混ざりあった自分の気持ちと、それでもなんとか前を向いていこうという決意を、書いたつもりです。
ところで、こんなクソ程恥ずかしい自分語りは置いておいて、「le mirage*」に僕自身の感情を歌わせるという行為は、僕にとっては割と覚悟のいることだったりします。le mirage*≠naka3ですから、le mirage*が僕の感情を歌っているのは意味不明なんですよね。
「さよなら魔法区51番街」の時は、自分の具体的な感情を、比喩を重ねまくって、オブラートに包みまくって、なんとか一般概念的な歌詞に落とし込みました。が、今回はle mirage*のギターボーカルである彼女(ジャケットイメージの子です)と僕の姿を重ねてやろうという感じになりました。le mirage*は僕自身ではないですが、その物語を作るのは僕自身なので。まぁこれもただのオタクの痛い一人遊びなんですけどね。

ここまで散々色々書いておいてアレですが、「le mirage*」についてはまた後日改めて別の記事でまとめようと思ってます。「オタクの痛い一人遊びを観測して共感性羞恥で死ぬ」みたいな人じゃなければ是非お付き合いください。


ジャケについて

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今回もジャケットイメージは自給自足です。しんどい。なんとなく段々絵が上手くなっている感じがします。
背景も、青いライトで照らされている幻想的なライブハウスのステージを描きたいなと思い描いたのですが、なんだか抽象的な感じになってしまいました。まぁ、これはこれで……。
「it's a rainy day.」のロゴはInkscapeで制作していますが、最近、丸とか四角とかの基本的な幾何学図形を使ったデザインにハマってるので、今回もご多分に漏れずそんな感じになりました。クリスタでダウンロードした良い感じのブラシで色を重ねると……なんか良い感じになりました。

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今回le mirageの5番目のキャラクターとして描いた、ギター&ボーカルの子です。5番目ですがバンドのメインですので、ちょっと他の子とは見た目でも差別化しようかなと思い、こんな奇形の髪型になりました。
絵に関する知見が殆ど無いので、いつも試行錯誤しながら描いてるのですが、良い感じに歌っている感が出たかな~と思ってます。出てるよね?
le mirage
のクール担当!って感じですかね……まぁ、キャラクターの設定についてはまた後日、別の記事に書こうかなと思っています。

ところで、今まではスマホのibisPaintで指で描いていたのですが、ついにペンタブを購入し、今回からクリスタを使ってPCお絵かきです。ペンタブを使ったお絵かきはまだ全然慣れませんが、ibisよりレイヤー量産出来てマジで良いですね。