わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

「アイの歌声を聴かせて」見てきたので、感想

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アニメ映画「アイの歌声を聴かせて」 信頼できるオタク筋から「面白いぞ!」との情報を得たので、今更ながら見てきました!

端的に言えば、ツッコミどころは多かれど、誰にでもオススメできるド直球に面白い映画だったなぁ~という感じです。
ということで、感想を垂れ流していきます。

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この記事はネタバレを含みます
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ド直球青春群像劇

映画の軸は青春群像劇
それぞれ悩みを抱える五人の高校生が、AIロボットであるシオンと交流していくことで悩みを解決し、成長し、団結していくという分かりやすいストーリーですが……
むしろその分かりやすさが新しく感じました。最近こういうの足りなかったんだよねー!
サンダーはともかく、サトミとトウマはお互い踏み出せない、アヤとゴッちゃんはお互い素直になれない、実にいじらしくて良かったですね。
こういう高校生活が良かったよ、俺も。(男子校)
各キャラクターの深堀りはもう少しあったら嬉しかったなとは思いました。
それぞれ過去何かあったからこじらせている訳ですが、その描写は少なめなので、いまいち感情移入できず、あっさり解決したなという印象があったのも事実。
別に彼らの過去や葛藤が視聴者に伝わらない訳ではなく、むしろ108分という上映時間の中で上手いことまとめ上げられているのは凄いことだなと思いましたが、まとまりすぎているのかな~とも思いました
特に、サトミが好きだった劇中アニメ「ムーンプリンセス」は、物語の中でキーにもなっていきますし、もっと描写があるべきだなと感じます。
……とは言え、青春群像劇として分かりやすく面白いですし、キャラクターは一人ひとりキャラが立ち愛おしいですし、良いもの見せてもらいました!という感じでした!
サトミが可愛すぎて、俺の中でショートヘア性癖が開花しそうになった

AIファンタジー

もう一つの軸であるAI
ツッコミどころは多くて正直かなり「ファンタジー」だなぁと思いましたし、特にキーパーソン(キーロボット?)であるシオンの設定や描写は、AIの実態と一般人の認識との乖離を感じるところではありました。
ただ、細かい所は目を瞑って、それをファンタジーと割り切って「この世界のAIはこういうものなんだ」と思って見れば、物語としてはとても面白かったです。
AIロボットであるシオンは、機械であるからこそ人智を越えた事ができる、そして人間になりきれていないからこそ人の深い所まで踏み込める。
AIであることを存分に活かして描かれる、AIと人間の交流が楽しかったですね。
アニメ的な未来感はかなりロマンがありますし、人間らしさを持っていながら、実際はただの機械であるというAIの二面性を描けるのは、こういう大胆な世界観ならでは
そしてシオンと対象的に、多数登場するスマート家電や実験都市の様子は現実の延長線にある感じがして、ファンタジーなAI感と非ファンタジーな世界観をうまく橋渡ししているなと感じました。上手いな~。
トヨタのスマートシティとかもこんな感じなのかな。ワクワクが止まらん。
そして、AIという題材でありながら難しいところは一つもなく、誰でも楽しめるように分かりやすく作られていることが素直に凄い。

一方、主人公の母親である美津子の研究描写はどうしても気になるところ。
あの実験が行われなければ何も起こらなかった訳ではあるものの、学校の許可も取らずロボットを投入しバレなきゃOK!なんて実験をするのは、研究者としても組織としてもどうかと思うし……
研究倫理としても実験計画としても、ログデータは取るべきだろ、とも思うし……
その上、実験失敗でヒステリックになって娘に八つ当たりしたりしているのは、流石にちょっとどうかな……とは思っちゃいました。

土屋太鳳の演技

AIロボットであるシオンの声を演じているのは女優の土屋太鳳さん
私はもともと、映画で俳優が声をあてるのはそれほど気にならないタチですが、今回は特に良いな~と思いました。役にハマってた!
そもそも、機械でありながら、高度な感情のようなものを持っているシオンの役どころはかなり難しいと思いますが、まさにそういう感じが出てたのではないでしょうか。
機械っぽい絶妙な棒読み感は、狙った演技ならとんでもないな……と思いました。
そして何より……歌が上手い!
劇伴もそうですが、音楽はこの映画の大きな魅力の一つですね、サントラ買おうかな。

サトミを演じた福原遥さんも、トウマを演じた工藤阿須加さんもハマってたと思いますし、他のキャラクターはプロの声優さんで安心。
(福原遥さん、朝ドラヒロインおめでとうございます、楽しみ)
全体を通して演技の不自然な所がなく、没入感が高いのが非常に良かったです。

アニメーションの完成度

アニメーション制作はJ.C.STAFF安定感のある作画で不安なところはありませんでした。
キャラクターデザインは、アニメらしすぎず万人に受け入れられるデザインでありながら、その表情や動きが可愛くてオタクにも刺さってくれますね。
サトミが可愛い(二回目) 背景作画も丁寧で、実験都市でありながら未来すぎない街が上手く表現されていましたし、何より綺麗。
この世界で俺も生きてぇよ……と思わせてくれる素敵な背景でした。
メガソーラーの場面や、クライマックスシーンでの光のエフェクト演出も、まるでミュージックビデオみたいで思わず見惚れてしまいましたね。

万人にオススメできる映画

物語、演技、作画、どれをとってもハイレベル。
そして何より「分かりやすい」映画であり、誰が見ても楽しめるというのは、単純だけど大事なことだと思いました。
最近あんまりこういう映画を見なかった気がします、たまにはこういうド直球映画も面白くて良いですね~。