コーエーテクモの競馬シミュレーションゲーム「ウイニングポスト10 2024」を遊びました。
プレイ時間は50時間ほど。
競馬は好きですがウイポシリーズは初プレイということで、シリーズファンではない目線での感想になります。
良かったところ
競馬史の追体験
あの史実競走馬たちと同じ時代を生きられることがこのシリーズの強み。
自分が競馬を全く知らない時代の、だけれども名前は知っているような名馬たちが群雄割拠する時代を追体験できるのは、シンプルに競馬の勉強になりますし、当時の熱狂を体感するという熱さもあります。
また、自分がそこに介入していくこともできるわけで、例えばディープインパクトなんかはゲーム内でもあり得ないような強さに設定されている訳ですが、そこになんとか挑んでいくというゲーム的な面白さもありました。
一部の史実名馬はセレクトセールにも出品され、自身の所有馬に迎えることも可能。(セレクトセールには出ないような名馬もDLCで購入可能です)憧れの名馬を手に入れるという夢も実現してくれるゲームです。
ちなみにセレクトセールで購入可能で個人的に印象的だった史実馬は、ホッコータルマエ、サトノクラウン、デアリングタクト、ラヴズオンリーユーあたりですね!特にホッコータルマエは化け物じみた強さでした……。
(本作は「史実調教」という競走馬のサブパラを伸ばせる機能があり、ただでさえ強い馬をあり得ないくらい強く仕上げる事ができます)
バケモノすぎるだろ pic.twitter.com/4FNTDwxhJG
— みなてふ/naka3 (@mintexcca) 2024年8月29日
レースのアツさ
所有馬を信じて、時に勝てそうなレース、時に格上挑戦に海外挑戦で送り出す。そしていざレース当日「行け!行け!差せ!」と声が出る。
競馬のレース観戦が持つ熱さを、このゲームもしっかり持っていると思いました。
当たり前っちゃ当たり前なのですが、本来(一般人が享受する)競馬が持つ「お金を賭けて思い入れを作る」という側面が無いところを、自分が育てた馬を走らせることで補強させているのは、構造として上手いなと思いました。馬主ってこんな感じなんや。
また、何よりレース映像がマジでよく出来てます。グラフィックも良いし、カメラワークもダイナミック、実況風、ジョッキーカメラなど選べてより取り見取り。めちゃくちゃ臨場感がある!
経営シミュレーション
このゲームはオーナーブリーダーとして牧場を経営しながら競馬界の頂点を目指す経営シミュレーションゲームであって、ただ馬をレースに出して勝った負けただのやるだけのゲームではありません。
なので、現実の競馬に賭けて観戦する以上に競馬に対する解像度が上がります。
競馬を支える裏方事情をゲームで理解することによって、現実の競馬がより楽しくなる。現実の競馬の熱さに触れて、今度はゲームをやりたくなる。競馬を丁寧に描いているからこそ、こういう好循環を生み出せているゲームなのかなと思いました。
イマイチだったところ
あまりにもやることが多い
所有馬が少なく苦しい経営になる序盤はむしろ暇なくらいですが、ゲームが進むにつれて所有馬はどんどん増えるし、海外牧場やクラブの経営なども任され、シンプルに手が回らなくなります。
まぁここはシミュレーションゲームの醍醐味でもある訳ですが、やることが増えるにつれて1ターンにやることが増えるので、時間の進みがどんどん遅くなっていくのがキツかったです。
このゲームって楽しいところはやっぱり育てた馬がレースに出て勝つところだと思うのですが、ゲームが進むにつれて、だんだんレース以外の部分に割く時間が増えていき、ゲーム内時間20年くらいで自分は楽しいより面倒くさいが勝ってしまったかなぁという印象でした。
(特に海外牧場を開設したあたりからがかなりしんどかった……)
競走馬の育成方針や出走スケジュールを調教師任せにすることも可能なのですが、結構トンチキなことをしてくる印象があったので、ここのAIをもっと賢くしてくれれば……という思いもあります。
導線の不親切さ
このゲーム、チュートリアルが不親切すぎる……!
競馬シミュレーションゲームといいつつ、本質はオーナーブリーダーとして牧場の経営を安定軌道に乗せる硬派な経営シミュレーションゲームです。
なので、特に所有馬が弱い序盤はレース収入よりも、とにかく幼駒を生産し売却することでお金を生み出しつつ、強い競走馬の購入や生産を目指すべき。
そのために繁殖牝馬を揃えることが先決な訳ですが、レース脳のわたくしは最初に競走馬を揃えようとした結果、レースには勝てないし、幼駒も産めないし、繁殖牝馬を買うお金もないという、シンプル詰み状態になってしまいました。
そこで攻略サイトのお世話になりセオリーを学ぶ訳ですが、そもそも攻略サイトを参照しないと詰みルート一直線になってしまう時点で、このゲームのチュートリアルはかなり失敗していると思います。
これに限らず(まぁ牧場の経営が安定していれば何やっても良いのですが)全体的に「ここからどうすればいいんじゃこれ」となることが多く、かなり初心者を置いてけぼりにしている印象がありました。
UIの不親切さ
「レース登録時に馬の能力も表示してほしい」「出走可能なレースだけ選択させてほしい(特に海外)」「騎手を選ぶ時の画面があまりにも横に長すぎる」
などなど、UIの工夫でどうとでもなりそうな不親切な点がかなり多い印象で、これがかなり面倒くささは助長させていました。
シミュレーションゲームなので情報量が多いのは当然のこととは思うのですが、それを見やすくする工夫がかなり足りてないと思いました。
本当に全体的によく出来ており、競馬好きなら絶対に時間を忘れてプレイしてしまうようなゲームではある反面、UIの不親切さなどからくる良くない「面倒くささ」から明確な飽きが来やすい、勿体ないゲームだなと思いました。
競馬の描き方は本当に丁寧でリスペクトにあふれており、これから競馬を始めるような人たちにとっての教材としても最適解なのではと感じます。
それにしてもシミュレーションゲームは時間泥棒だ、ご利用は計画的に。