わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

百合漫画を紹介するやつ 「君と綴るうたかた」

久々に、百合漫画を紹介するやつです。
今回はVol.3で紹介した「君と綴るうたかた」を改めて取り上げます!
つい最近、最終巻たる6巻が刊行され完結しまして……
本当に……本当に素敵な漫画だったので、感想を書き殴りたくなった次第です。

ネタバレを含みますので、読んでない方はぜひ読んでくださいね!

感想

まずは、完結おめでとうございます!
好きな漫画が打ち切りになってしまうことも多いなかで、きみつづが無事に完結したのは本当に嬉しい……

「いじめ」と「病気」のとても重い2つのテーマを扱った作品ながら、この爽やかな読了感、後味の良さと満足感、大変良いものを読ませていただきました……という気持ちです。

いじめの加害者という過去を引きずり、心に業を背負う雫と、余命いくばくもない重い病という、体に業を背負う夏織が、互いを支え合うひと夏。
性格も対照的な二人ですが、何かと一人で抱えがちなのは一緒で、最初は夏織から雫への一方的な関係だったのが、雫がだんだんそれに気づいて「お互い様」的な、相棒的な関係になっていく。一方で、雫から夏織への(少なくとも描写のうえでは)一方的だった恋愛感情は、最後には両思いになっていく。そういう関係性の変化の描写が、俗っぽい言い方になってしまいますが、尊い……。
また、お互いの恋愛感情は言葉ではなく文字で伝えているという点も、本当にこの作品らしいところでグッときました。「小説」がひとつのテーマとして丁寧に描かれるので、「文字で伝える」ということが、この作品に於いてはとても強い意味を持ってるんですよね。

2巻で個人的に印象的な夏織の台詞
「傷つけてしまったらそのぶん謝って 許し許されて 皆そうやって生きてるんだ」
すごく好きなセリフで、この作品のテーマを表すものでもあると個人的には思います。
最初は夏織が雫の、その次は雫が夏織の、それぞれが持つ業そのものを肩代わりしてあげることはできないけれども、お互いの荷物を少しずつ背負ってあげる、そういう健気さがいじらしく、そして人間らしくて好きでした。
大切な人が病気などを患った時など、重大な局面に対して自分が決定的な解決策を打てない時、自身の無力さに苛まれるのは、自分も経験があります。
それでも何か自分にできることはないかとアレコレやってあげるのは、側から見れば利他的で親切ですが、実はエゴで人間臭いもの(悪い意味ではなく)だと個人的には思っていて、そういうのが丁寧に描かれていて、すごくリアリティがあるんですよね。
自分の経験に重なる部分もあったりして、登場人物へ感情移入しやすい……稚拙な表現ですが、泣ける。
5巻の雫のセリフ。
「少しくらい 一緒に背負わせてくれたっていいのにね」
まさにこれを端的に表してくれている、とても好きなセリフです。

夏織が生きていてくれればそれが一番良かったのかもしれないけれども、それでも夏織が最後に雫に求めたように「かたちは変わってもきっと二人が納得して、後悔しない終わり方」をしたんだなと、自分も感じられたから、決してご都合主義的でもない、後味の良い爽やかな作品になっているのだなと思いました。
実はこの作品が連載され始めた時、丁度新型コロナウイルスが猛威を振い始めたタイミングでしたが、私の母が癌を患いまして(今は治療も終わって元気ですが)、人の死について長い時間向き合い、悩み苦しんだ、なんてこともありまして……
ここ数年は、死という観念に対して、個人的には結構センシティブになっています。
これからの人生、人の死に向き合うタイミングが来る度、この作品を思い出すことになりそうです。そして、「かたちは変わって」も「納得して後悔しない終わり方」がきっとあるのかもしれないと思う事が、自分を救ってくれることと思います。
もちろん、みんなが元気でいてくれることが一番の願いですけども!!!!
本当にそういう時が来た時に、雫と夏織のように、納得して後悔のない結末を迎えられるようにしたいものですね。

何はともあれ、ゆあま先生、本当に良い作品をありがとうございました🙇‍♂️


最近、百合漫画レビュー書いてませんでしたが、色々読んではいるのでまた書きたい。