たまには趣向を変えてVRゲームのレビューでも……ということで。
今回はOculus Questのストア外アプリ配信サービスApp Labから「Car Parking Simulator」というインディーズゲーム。
その名の通り「自動車の駐車」のシミュレーションゲームです。
かねてから
- VRはシミュレータ教習に最適のプラットフォームでは?
- なぜ教習所では実践的な駐車を学ばないのか?
と思っていた私にとってプレイしない訳にはいかないゲームな訳です。
ミラーや後方を確認しながらの駐車
既存の自動車シミュレーションの弱点は視点や視線が固定されていること。
教習ではアレほど「確認しろ」「視線を動かせ」と耳タコ。
特に駐車の場面ではあらゆる方向を確認しなければなりませんが……シミュレータではそれが出来ません。
でも、VRだと可能です。特にOculus Questは6DoFですから、窓から顔を出して直接後方を確認することもできます。
こと視線と視点という点においては、実際の駐車と遜色ないプレイ感だと思いました。
特にこのゲームは、最近の車には当然のようについているバックモニターが存在しないので、自分で直接後方を確認する重要性が知れて大変良いですね。
運転感覚は実車との隔たりがある
エンジン始動から始まり、駐車が終わったらギアをPレンジに入れてエンジンを切る……という流れはリアリティがあって良いと思いますが。
やはり本来足で操作するアクセルとブレーキがコントローラーのトリガーにアサインされているのは、仕方ないとは言えリアリティには欠けますね。
また、操作する車は明らかにオートマ車なのにクリープしないのも不可解で、右トリガーを押し離ししながらゆっくり後退していく必要があります。
駐車時はクリープの制御が結構大事だと思うんですけど……。
操作上の配慮だとは思いますが、ハンドルも左右90°くらいしか回らないので、やはり実車の運転とは隔たりを感じます。
細かい配慮が足りないUI
UIは本当に必要最低限で……プレイの快適さは決して良くはないです。
ゲームとしてのリッチさはない、という感じでしょうか。
例えばステージ開始時に、目的の駐車スペースが運転席から見えない場所にある場合、どこに向かえばいいのか分かりません。
矢印などで誘導しないと不親切だと思いました。
また、ハンドルはコントローラーで握りながら回す訳ですが……触覚がないので、直接後方などを確認していると、どうしても「今どのくらいハンドルが回っているのか」がよく分からなくなります。
ハンドルが画面外にある時は、UIでハンドル回転量が分かるようにするなど配慮があると操作性も改善しそうな気がします。
VR酔いは控えめ
VR酔いを起こしやすいという理由で、VRと乗り物というのは基本的に相性の悪いものですが……
このゲームはVR酔いは控えめで、比較的安全なゲームです。
恐らく
- 自動車のスピード自体が遅い
- ハンドルやアクセル/ブレーキ、ギアなど操作が多くエージェンシーが高い
あたりが効いてるんじゃないかと思います。
まぁでも、VR苦手な人は十分に酔うと思います。
AppLabのゲームは酔いの評価などが為されていないので、要注意です。
教習シミュレーターの未来を感じさせる
ここまで書いてきた通り、ゲームとしての出来は粗末な部分も多いです。
駐車モード以外にドライブモードもあることは今回紹介していませんが、こちらの出来は……正直、さらに粗悪です。
ただ、現状、実車を使わずに駐車の練習をするならば最適な選択肢のひとつではないかと思います。
将来、実車を使わずともバーチャル空間で自動車教習や運転の練習ができる……そんな時代が来るのもそう遠くはないのかな、と思わせる良いゲームです。
自動車教習でトラウマを植え付けられ、車嫌いになる人が、バーチャル教習で車好きになってくれれば良いのですが……
まぁ、それよりも先に、自動運転が普及して人間が運転しなくても良い時代が来そうな気もしますね……。