わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

「宝石の国」無料だったので全部読んだ

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何日か前宝石の国が突然話題になって驚いていたオタクさんも多かったのではないでしょうか?
というのも、連載再開を記念して6/30までの一週間、コミックDAYSで95話まで無料で公開されていたんです。

僕はアニメ見ていなかったので、波に乗れなかったなぁ~と思っていたのですが……
(流行りに乗り遅れるのには自信があります)
今回、社の先輩に勧められたので、全話読んでみました
というわけで、感想書き殴り記事です。

まず月並みな感想ですが、メチャクチャ面白かったです。
かなり強めに宗教的な観念が取り入れられた複雑な話ですが、そういう側面からくる取っ付きづらさは感じなかったです。特に我々日本人に馴染み深い仏教の思想が多く取り入れられてるので、親しみやすく深みのあるストーリーに感じるのかなと思います。
しんどいことばかりが起こるのに感情的な描写は少なめで、極めて淡々と進んでいくのが印象的でした。これがしんどすぎるという方もいるみたいですが、僕はむしろ読みやすかったですし、登場人物の感情について読者が想像する余地が多いのが読み進めていて楽しかったです。
いやまぁ、しんどいものはしんどいですけど……「どうして……」と呟きながら読み進めました。漫画読み終わってからアニメ見始めたんですけど、フォスフォフィライトめちゃくちゃ可愛くて……どうしてこんなことに?
あと、アニメだと登場人物に色ついてて分かりやすいし、バトルシーンも何が起こっているのか見やすくて最高だった……(漫画はモノクロだしバトルシーンは迫力ベースで描かれているのでめちゃくちゃ理解が難しい)

やはり個人的には特に、仏教的な概念や思想がたくさん散りばめられているのがとてもポイント高かったです。
また、人々を救うのが信仰であるという考えが実質的に捨てられ、信仰虚しく「にんげん」は3つに散り散りになり、その3方が信仰に縛られる形で争っている……個人的には、かなり挑戦的な表現だなと感じました。
この「にんげん」が骨・肉・魂の3つに分かれた……というところは、仏教というよりキリスト教的な考え方かもしれませんが。でも、人が死を迎えると仏教の葬儀でも、肉は滅び、骨は埋められ、魂は天に昇りますから分かりやすいです。こんな面白い設定何食ったら思いつくの?
「金剛先生」は人間が作り出したお地蔵さんロボットであることも途中で明かされますね。人間の魂が昇華されるために人間の祈りが必要である、という点は仏教的ですが、一方で地蔵菩薩を人が作り出しているという点はとてもメタ的で……信仰は人々を救うという主張と、宗教は我々が我々を救うために生み出した虚構であるという主張、その歪みが宝石の国にも現れているんじゃないかなと思ったり。
脱線しますが、結局、金剛先生は地蔵菩薩としての役目を果たせていません。仏教の原典では、人間のブッダが解脱して仏・如来になりましたから、人間が仏になるしかない(人間以外をソースとして仏を作り出すことはできない)と解釈できると思います。そこで月人はフォスを人間にして、仏にすることを画策するわけですね。フォスへのインストールに1万年、みたいな話はいかにも弥勒菩薩っぽいですよね~。

もともとは人間だった3つの種族が、人間が生み出した(作品内でそのような描写はありませんが)信仰に縛られ、それぞれのエゴをむき出しにして争い合っている様、宝石の国を読んだ多くの人と同じように、月並みに「人間とは……?」という疑問を抱かざるを得ない……
これはオタクの深読みなので読み飛ばしてほしいのですが、感情描写が少なめなのは、これはあなた自身の物語ですよ、自分事として考えてくださいねというメッセージなのかも……?なんて思ったり思わなかったり。