わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

好きなお寺 Vol.3「大安寺」

久々のお寺紹介シリーズ。
第三弾は、現在、東京国立博物館で特別展示「大安寺の仏像」が開催され注目されている「大安寺」(奈良県奈良市)です。

それほど規模の大きくない、どちらかというと地域密着感が強いお寺ですが……
このお寺、ひいては我が国における仏教の発展と衰退が感じられる、とても歴史深い場所です。

癌封じのお寺

本堂、嘶堂と、少数の小さなお堂からなる境内は、立派ですがそれほど大きいものではなく…… 本尊は十一面観音様、嘶堂には馬頭観音様が安置されますが、どちらも秘仏で限られた期間しか見ることができません。
そういうお寺なので、観光客はあまり訪れないお寺です。

病気平癒や癌封じに大変ご利益があるとされており、様々な病気を抱えた方々が訪れています。
そういう意味では、切実な願い・祈りを捧げている方々が多く、信仰の深さを感じられる場所です。
かくいう私も、家族の健康や病気平癒のことを度々お祈りさせていただいています。

後述の大安寺天平伽藍CG復元プロジェクトに携わった方が、大安寺のお堂内部のボリュメトリックキャプチャみたいなものを公開しているので、良ければバーチャル参拝にどうぞ。
大安寺 本堂
大安寺 嘶堂
大安寺 宝物殿

南都七大寺

今はそれほど広くはない境内ですが、実はあの東大寺興福寺薬師寺法隆寺などの超著名な寺院と並んで、南都七大寺のひとつとされています。
それもそのはず、奈良時代から平安初期にかけては、東大寺などとも並ぶ超大規模寺院でした。
しかも、我が国初の官寺、言わば国営のお寺として創建しました。かなり権威のあるお寺なんです。
かつての大伽藍は、最近CGを使って復元が行われました。かなり金かかってるらしい。

900人が居住 失われた大伽藍 大安寺がCG復元

現在は、なんと当時の大伽藍の4%しか残っていないとか。
都が京都に移ったことや、幾度となく火災や戦禍に見舞われたこと、また、かつて国を動かすほどの絶大な力を持っていた仏教自体の衰退もあり、一度火災で失われた大伽藍は、もう一度同じ規模に再興することはありませんでした。
今でも大きな伽藍を持つ東大寺興福寺法隆寺などは著名ですが……
実はこのように、かつては大きな力と敷地を持っていたが、徐々に衰退していったようなお寺は数多くあり、大安寺は特にそんな歴史が感じられる場所だと思っています。

かつての大伽藍の面影は少ないながらも残っていて、南大門や僧房の礎石、かつて大安寺の瓦を焼いた杉山古墳の丘陵など……
中でも、大安寺の南、八幡神社を超えたあたりにある東塔・西塔跡は、当時の姿を思い描くことができるオススメスポット。
とにかく広くひらけた空間に、二つの塔跡。かつてここには、大きな七重塔が2つ建っていました。
かつて仏教が、そしてこの大安寺がいかに大きな力を持っていたのか、どれだけ多くの人が住み、信仰を捧げたのかを感じられる場所です。

東京へ出開帳

この時期に大安寺を紹介するのには、実は訳がありまして……

大安寺、ただいま宝物殿が改築工事中。
それに伴い、宝物殿に安置されていた仏像が上野の東京国立博物館にいらっしゃっています。
特別企画「大安寺の仏像」は2023年3月19日まで。
不空羂索観音様や楊柳観音様、四天王像など……大安寺所蔵の仏像が展示されています。なんと撮影OK!

奈良時代の素敵な仏像に東京で出会えるチャンス、ぜひ東京国立博物館に訪れてみては?

拝観料・アクセス

大人400円

大安寺バス停下車 徒歩10分