わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

「パルワールド」について

ポケットペアのオープンワールドサバイバルゲーム「パルワールド」のリリースから半月が経ちました。
ほとぼりも冷めてきた頃かなというところで、まだそこまでやり込めてはいないのですが、いちゲーム業界人としてこのゲームの感想やお気持ち表明をしていこうかなと思います。

大前提として

法的にセーフかアウトか、みたいなのは、俺らが決めることじゃ無いので……
あくまで一個人のお気持ち表明だとご理解ください。

ゲームデザイン

Arkなど既存のサバイバル、サンドボックス系のゲームとの類似性は指摘されてますが、そもそもこの手のゲームは必然的に似がちなので、仕方なくね?の気持ち。
実際、ゲームメカニクスの類似性の部分で大して燃えてない印象です。
むしろ、3年という開発期間でこの規模のゲームを、アーリーアクセス段階でこの完成度で作れるのは、相当優秀なプランナーがいるのではと思わせてくれます。
オープンワールドで要素も多いので、策定すべき仕様がとても多そう……。だからこそ、徹底的に既存の様々なゲームの要素をそのまま拾ってくるような形で構成して、低開発コスト・スピードを実現してるのかもしれませんが、そもそも、多くの要素をここまで破綻なく統一性を持って組み合わせることが出来ている時点で、本当に素晴らしいと思います。
僕は、ゲームのメカニクスは模倣と組み合わせの文化だと考えているので、ゲームの作り方の在り方として妥当な気がしています。
(少し脱線しますが、ゲームのコンセプトであろう、「ポケモン×Ark」も、まさにそれですね)

「パル」のデザイン

今回一番燃えている部分。
個人的には「そんなに騒ぐほど似てはいないんじゃない?」という気がします。一部本当に似てる奴はいるけど……
ポケモンっぽさは残しつつ、全く同じデザインにはしない、上手くギリギリセーフのラインを攻めているなぁ、という印象的です。あくまでセーフかアウトか、に対する個人的な見解。

ただ、明らかに意図的にトンマナをポケモンに合わせており、「ポケモン人気にタダ乗りしてる感」があることは否めないし、そこになんとなく良い気持ちがしないのは自分も同感です。

加えて、パルを殴る、労働させる、食料にするといった行動は、ポケモンに置き換えれば、(あくまでゲーム的なポケモントレーナーの観点で)明らかに倫理感が終わっており、拒否反応が強いポケモンファンが一定数いる事も理解できます。
一方でこれらの要素は、この手のサバイバルゲームには無くてはならない要素なので、逆に言えば、ポケモン本家にはこんなゲームは作れないんですよね。インディーの強みなのかなと。(開発費10億円はもはやインディーの規模ではない気がするが……)

ポケモン×Arkをやってみたい!という層に留まらず、サバイバルゲームに今まで触れてこなかった層にも明らかにリーチ出来ている辺り、意図的にポケモンに寄せたのはビジネスとしては成功だったのではと思います。
もちろん、いちゲームプランナーとしては「ここまで完成度の高いゲームを作れるなら、わざわざ火種を作らんでも」と思わんことはないんですけど、それはインディーゲームにとっては野暮なことなのかもな、とも思います。


パルワールドは時間を忘れて遊べるタイプの、本当に面白いゲームだと思います。今後のアップデートも楽しみ。
一方で、このゲームに対して抱いたネガティブな感情も、いちゲーム開発者としては絶対に忘れてはいけないと思ってます。
意図的にポケモンに寄せるなんてのは、インディーゲームだからこそできる荒技で、こんなことを商業ゲームでしようものなら、会社の社会的信用を失墜させかねません。
パルワールドの素晴らしいゲームプランニングと、理想を形にする行動力は学ぶべきところですが、一方でインディーゲームはこういう事も平気でしてくるぞということを胸に刻んで、では我々はどう勝負できるのか、我々にしか出来ないことは何かを考えていくのが大事ですね。

色々言いましたが、パルワールドは本当に面白いです。
ぜひ皆さんも遊んでみては?