今回はSteam向けに配信されているレースゲーム「Hotshot Racing」をレビューしていきます。
海外ではコンシューマ向けにも配信されておりますが、日本ではまだ……のようですね。
ローポリな見た目が目を引く本作。
デイトナUSAやリッジレーサーといった、ゲームセンターのレースゲーム全盛期の頃のレースゲームを彷彿とさせる、アーケードライクなレースゲームです。
ゲームセンターの興奮が蘇る
まずはプレイ動画を見て頂きたい。
このスピード感!
ロケットスタートから始まり、ドリフト!ブースト!スリップストリーム!
この大味で大胆な車の挙動が、アーケードレースゲーム全盛の時代を思い出させてくれますね。
特にスリップストリームが非常によく効くので、後方からの逆転も十分に可能という点が、またアーケードライクらしいところでしょうか。
わかりやすい挙動でありながら簡単ではなく、ドリフトを始めるタイミングや、減速する勇気も大事。
一瞬の油断がタイムロスに繋がる緊張感もあるバランスの良い挙動です。
そして、バーチャレーシングを思い出すグラフィックが目を引きます。
可愛さと懐かしさ、美麗さと派手さが感じられ、まさに古き良き時代と現代の良いとこ取りというところですね。
手に汗握る高難易度モード
難易度はNormal、Hard、Expertと選べます。
難易度が上がるほどCPU性能はもちろん、自分を含む全ての車が速くなります。(マリオカート的な)
レースゲームが苦手な人はNormalから。
逆にレースゲームが得意な人は是非HardやExpertでプレイしてほしいです。
特にExpertのスピード感、抜きつ抜かれつの手に汗握る展開はアーケードのレースゲームそのもので、とても面白いです。
(ちなみに先程のプレイ動画はExpertのものです)
このゲームの真の面白さは高難易度にアリ。
嬉しいカスタマイズ要素
アーケードライクなレースゲームの魅力はそのインスタント性。
しかしそれは100円を入れてハンドルを握り、アクセルを踏む……一連の体験の中で生み出されるもので……
家庭用のゲームでそれをやると、どうしても「飽きが早いゲーム」になりがち。
そこでこのゲームは、車の外見を自分好みにカスタマイズできる要素があります。
ゲームを進めていけば、車の色はもちろん、エアロパーツから内装まで変えられる。
車種も往年の名車たちをモデルにしたものからF1まで多種多様で、車好きの琴線に触れるものではないでしょうか。
やりこみ要素としての車のカスタマイズ機能が、このゲームの寿命を長くしているとも言えそうです。
……とは言え、やはり飽きが早いのは否めないので、ゲームモードの面でもっと工夫があると良かったですね。
ストレスになりがちなCPU
Steamのレビューでも多く書かれていますが、CPUのラフプレーが目立ちます。
アーケードライクですから、ぶつかり合ったりするのは「レースオン!」みたいなハチャメチャ感があって良いのですが……
当たりどころが悪いと簡単にスピン、車が後ろを向いてしまうなんてことが日常茶飯事。
車がぶつかり合った時の挙動がかなりストレスになっているので、ここの改善を求めたいところです。
もうひと工夫ほしいコースレイアウト
デイトナUSA2の中級コースや、レースオン!のテーマパークコース……このあたりが、僕がゲーセンのレースゲームで好きなコースです。
挑戦的なコースレイアウトで、激しいアップダウンと急激なバンク……もちろん、景観も遊園地らしくハチャメチャで、そんなコースが「アーケードらしいコース」だと私は考えています。
本作には4ロケーション20レイアウト(ミラーを含めると40)のコースが用意されていますが……
この観点から言うと、本作のコースはどれも「保守的」で「地味」に感じられます。
コースのレイアウト自体、個性が少なく、似たようなものが多い。
ジェットコースターのようなアップダウンやバンクも無く、悪い意味でアーケードらしさが無いです。
景観のデザインはある程度個性がありますが、やっぱりもう少し派手さがほしいかな……というのが正直なところです。
完璧ではないがロマンのあるゲーム
ゲームをやっていると様々な不満点が出ることは確かですが……
とは言え、懐かしいローポリグラフィックと、秀逸な車の挙動は、幼い頃父にゲームセンターに連れて行かれ、膝に乗ってレースゲームを楽しんでいた頃を思い出させてくれます。
昨今、この手のレースゲームはなかなか少なくなってきたのではと感じます。
手軽に遊べますから、レースゲーム苦手な人も得意な人も、ぜひ手に取ってみていただければと思います。