わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

映画「君たちはどう生きるか」を見た

昨日7/14公開のジブリ最新作「君たちはどう生きるか」見てきました。
せっかく事前の情報公開ほとんど無しという粋なことをしてくれたので、自分も事前情報はほとんど入れずに鑑賞。

まぁなんというか、面白かった……のかもしれない、どうでした?皆さんはどう感じました?
自分は鑑賞直後、こんな感じの煮え切らない気持ちになったわけですが、今になって、アレはこういうことだったのかもしれないな〜などと、点と点を線で結ぶのが楽しくなってきてます。
ということで、感想をつらつら書いていければと。
普通にめちゃくちゃネタバレ書くので注意です。


鑑賞直後の感想としてはやっぱり「駿、やりたい放題やってんな!」でしたね〜〜。
とにかく要素が多い、場面転換もめちゃくちゃ多い。俺がやりたい事全部詰め込んでみたけど、どう?みたいな感じ。
2時間4分にとにかく詰め込まれていて展開も早く、まさに「君たちはついてこられるか」。
実際、鑑賞直後は訳のわからんうちに終わってしまったって感じで、ちょっと呆然としました。初見で頭をきちんと整理しながら見られた人はかなり凄い……。

ストーリーはともかくとして、スタジオジブリ欲張りセットみたいな背景美術には度肝を抜かれましたね〜。
前半は戦時中の日本、後半はなんかファンタジー的な世界になるので、時代も文化も世界もバラバラの色んな背景を、2時間で致死量くらい鑑賞できました。それぞれになんとなくジブリの過去作の雰囲気があって、ジブリの美術展を見てるようなお得感。
ひとつひとつが雰囲気といい構図といい、描かれるひとつひとつのモチーフもすごく拘って作られてる感じがして……個人的に好きだったのは、屋敷の裏の廃洋館に主人公とキリコおばさんが入っていく場面の背景。ほんっっっとうに細かいし、廃洋館に命が灯ったみたいな雰囲気がすこ……。

キャラクターの話としては……
主人公の眞人くん。快活な感じでないのはジブリの主人公としてはやや異質ではあるけど、順応性の高さと物怖じしなさ、決断がやたら早くハッキリしてる感じはやっぱりジブリの主人公だなと。
前半は口数少なく表情変化も乏しくて、ちょっと考えてる事がよく分からん場面が多くて怖かった……
主人公に限らず、なんか全体的に登場人物たちが「こいつ本当は何考えてんだ……?」と勘繰ってしまう感じの、裏がありそうなキャラが多くて、常になんとなく不安感のある感じがしたし、そこがまた不思議で魅力的な感じがしましたねぇ〜。俺だけかもしれんけど。ばあやたちのビジュアルとか最初出てきた時めっちゃ怖くなかったですか?コイツら主人公に何する気だよ……って、普通にみんな良い人たちだったけど。
若いキリコさんやヒミは、強くて頼れる女性像、僕の大好きなジブリヒロインって感じで大変良かったです。
他にもアオサギペリカン、インコ、ワラワラ、それぞれ何かを象徴してそうなキャラがたくさん出てきましたけど、いまいちこれだーって答えに辿り着けておらずモヤモヤしてます。悔しい。

ストーリーの話は、正直まだ咀嚼しきれてないんですよね、全然。
まぁでも言いたいことはやっぱり「君たちはどう生きるか」だと思うので、タイトル通り。

誰から誰への語りかけかというと、物語上は大叔父さんから眞人ですよね。
世界を安穏にだの、この世界をどうするかは君次第的なことを言って、よく分からんブロックを眞人に託そうとしてるので、「俺はこうしたけど、お前はどうする?」って感じで。
そもそも後半の舞台の異世界はなんだったんだろうなぁ〜、ワラワラが地上に上がって人間として生まれる、とか、みんな幻だの死んでるだの、みたいな明言された設定から考えれば、死の世界?死んだ人間が異世界ではワラワラの姿になって、輪廻転生していく……みたいな。根拠はないですけど。
そんで、時間軸は確かに存在するけども、地上のそれとは違いますよね。そもそも、いろいろな(地上の)時代の人が迷い込んできてるわけで。
大叔父さんが積んでるよく分からん積み木が、地上の秩序を保ってる……みたいな口ぶりでしたけど、そもそも大叔父があの世界に迷い込む前は?最後には積み木崩れちゃったけど、地上は別に何ともなってなさそうだし……というのを考えるとイマイチ腑に落ちない。
結局、大叔父が勝手に「世界の秩序を守ろうゲーム」みたいなのをしてただけなんじゃないかなと思ったりもしますよね。異世界には異世界の秩序があった(ペリカンとワラワラは食物連鎖の関係にありそうなところ、ヒミがそれを乱したりしてるような描写だった感じがした)のに、大叔父が迷い込んで、何か地上と異世界の間に繋がりがあることに気づく。地上の秩序をコントロールしようと試みたことをキッカケに異世界の秩序がおかしくなっていく……それが地上の秩序にも影響を与えている(二次大戦とか)。そんで大叔父は「俺はこう生きてきた(けどもうダメそう)。なので眞人に託したい。お前はどう生きる?」という感じ?
なんか考えれば考えるほど、大叔父さん身勝手すぎるだろ!と思うし、結局大叔父の意思を継がないことを決めた眞人は偉いな〜と思うわけで。まぁ考えすぎかも、普通に。

そんで、やっぱりメタ的には宮崎駿から我々へのメッセージだと思いますよね。言い方はアレですけど、宮崎駿のオナニーですよ。
そもそも宮崎駿は眞人世代の人だし、自分を投影してる部分はあると思っていて、戦争時代の大人たちから「戦後の時代、君たち若い人はどう生きる?」と言われたようなタイミングがあったのかな〜と想像します。
そんで、コロナやウクライナ侵攻の変革の時代にあって(そもそも制作が始められたのはそれより前だと思うので、結果的にそうなっただけな気はしますが)、「俺はこういう映画を作ったけど、君たち若い人たちはどうする?」というメッセージかな、なんて受け取りました。この映画というより、やっぱりジブリ総集編的な作り方を見ると「子供時代が戦時中だった私は、これまでいろんな映画を作ってきました。君たちも見てきたと思うけど、これから君たちはどう生きる?」ってことかなぁ。
そういう意味では、宮崎駿の説教映画なんていうのも、あながち間違ってないんじゃない?なんて思うわけで。僕は意識低い系人間なので、知らんがな!って感じですけど……。
まぁただ、さっきはオナニーなんて表現しましたけど、こんな宮崎駿の個人的な「お気持ち表明」映画を、こんなにも多くの人がお金を払って観に行って、感想を言い合ったり考察をしたりしてるっていうのは、やっぱり宮崎駿が多くの名作を生み出したからこそですよね。職業ゲームクリエイターをしてる身としては「お前が個人的な意見を創作を通じて発信したいなら、このくらいはやれよ」というメッセージにも感じてしまって、なんだか身を引き締まるような思いでもあるし、いやそれは無理やろwとも思いましたね。


なんというか、敢えて高速で不可思議な展開と難解なストーリーにすることで、我々を試しているような映画かな、と思いました。
そういう意味で、僕は鑑賞直後「どうなの?皆さんはどう思いました?と聞きたくなるような映画」だったと表現しました。
でも結局言いたいことって「君たちはどう生きるか」だし、それに対する答えは十人十色で。だからこそ、我々は感想を言い合いたくなるし、考察し合いたくなる。つまり、我々は宮崎駿の手のひらの上、なんですよねぇ〜。