わたしです

みなてふ(twitter:@mintexcca)のメモ帳みたいなもんです

デバッグはゲーム開発の最後の砦

昨日、桜井政博さんが、ゲームのデバッグに関してこんな動画をアップロードしていました。
とても面白いので、ぜひ見ていただければと。

思えば、自分もゲーム会社に入ってから、ゲーム開発におけるデバッグのイメージはずいぶん変わったなぁと思い。
今回は、プレイヤーの皆さんにも、デバッグって凄いんだぞ!ということを知ってほしい!そんな記事です。

デバッグを軽視してた

大学時代、ゲーム制作サークルではじめて複数人でのゲーム制作に触れて、何本かゲームは作った訳ですが……
めちゃくちゃデバッグのこと軽視してたな〜というか、もうデバッグしてないまであったよな、などと振り返ると思います。
デバッグ人員なんてもちろんいないし、そもそもスケジュールにデバッグを入れてなかった。

ノベルゲームを2本作ったのですが、特定のシーン以降ずっと画面が暗転するというヤバいバグを残したままリリースしたことがありました。いや本当に申し訳ない……。
これはヤバすぎなので、デバッグ云々以前に実装者が絶対見つけるべきだったヤツですが。
まぁ、リリース前日になんとかマスターアップしたりとか、なんならコミケ当日の朝まで開発してたりしてましたからね……(遠い目)

学生ゲーム制作はじめインディーゲームの全てがそうなんて思いませんが、やっぱり「完成したら終わり」が一般的な認識であって、そういう風潮の中で、デバッグという作業は一般に軽視されがちなのかなと。
過去の自分がそうだったように。

バグは無くしたい

昨今のゲームの規模では、バグを完全に無くすのは不可能です。当然みんな不可能だと思ってます。
ただそのうえで、それ以上に、ゲーム開発者はみんな当たり前に、バグのないゲームを目指してます。
動画の中で桜井政博さんも言ってましたが、リリースしてからアップデートで直せばいいや、なんて思ってる人はほとんどいません。

理由は様々だと思いますが……組織の信用にも関わりますし、そもそも自分の担当した箇所にバグがあるなんて、誰しも普通に嫌ですからね。

リリース前に見つかった不具合は、リリース前に直せばいい話ですが……
リリース後に見つかった不具合は、たくさんの対応が必要になります。お客様にお知らせしたり、補てんやお詫びをしたり。見えないところで言えば、修正リリースの時期の検討など。場合によってはメンテナンスを入れることも。まぁ平たく言えば、マジで面倒臭いです。しかも、多くの忙しい方たちに、リリース前に直せていれば必要なかった余計な工数を取らせることにもなります。
特にソーシャルゲームの開発では、お客様に不利益や不公平をもたらしてしまうような不具合がしばしば発生してしまいます。このような場合は、もちろん開発側のスケジュールへの打撃や精神ダメージも大きいですし、組織の信用も失墜しかねません。

バグを残したままリリースしてしまうのは、本当に、本っっっっっ当に良いことがないのです。
なので、開発者はみんな当然バグを無くしたいと思ってます。
それでもバグが見つかることはありますが、その度に再発防止策を総出で考えます。そのくらい、バグを無くすことに必死なのがゲーム開発です。
リリース後に直せばいいや、なんて甘い考えでは、やっていけないのです。

デバッガーさんはすごい

バグの無いゲームを目指すにあたって、デバッガーさんは最後の砦です。
もちろん、実装物の基本的な部分はプランナーや担当エンジニアも責任を持って確認しますが、限度があります。特に昨今のゲームは本当に複雑ですから、特定の条件下のみで起こるバグや、思いもよらない別箇所への影響、あるいはプラットフォーム依存のバグも多々あり、これらを我々だけで追うことは厳しいです。

その部分を担ってくれるのがデバッガーさん。本当に途方もない時間や工数をかけ、あらゆる動作、条件をチェックしてくれます。
運用ゲームではもちろん、リリースに向けて開発が佳境に入ったコンシューマーゲームなんかでは、日々数十数百という数の報告が上がってきます。ただバグを上げればいいという訳でもなく、再現方法や発生頻度などなど報告も丁寧で、修正の一助となります。
とてつもなくありがたい存在なのです。

「ゲームを遊ぶ仕事」と甘く認識されている部分もありますが、桜井政博さんの動画にもある通り、その業務内容は生半可なものでは決してない……ですし、何よりも「デバッグで見逃されてしまったバグはリリースされてしまう」という、重大な責任を背負っている仕事です。まさに「最後の砦」なわけです。


バグを完全に取り切ることは不可能です。
しかしながら、開発者はみんなバグを可能な限り無くしてリリースしようと日々当たり前に努力しています。
バグが出てしまうことを許してくれ、などと言うつもりはありませんが……
どうか、必要以上にゲーム開発者を叩くのはやめていただきたいとともに、是非デバッグという仕事の大切さと大変さを知っていただきたい次第です。